INTERVIEW

BPCC20 ファイナリスト
「新しい学びを提供する VRschool コロナ禍の新しい学校選び」
金谷 建史 氏
リアルバーチャル株式会社
(旧:株式会社テンアップ)

MIT-VFJは24年間にわたり、毎年継続的にメンタリングプログラムを実施しています。
同プログラムでは、 MIT-VFJ登録メンターが徹底したメンタリング・アバイスを行い、事業計画の見直しやブラッシュアップを行います。

今月は、コンテスト形式で2001~2020年のあいだ開催していたBPCC(ビジネスプランコンテスト)第20回ファイナリスト、金谷 建史(かなや・たてふみ)さんにお話を伺います。

事業になりにくいと言われる脳科学でBPCCに挑む

大野

ビジネスプランコンテストBPCCに応募されたきっかけを教えてください。

金谷

僕たちは元々東大の近くでずっと脳科学をベースにした事業をしていました。
どちらかというと技術優先だったので、これからどうしていくべきか、よく分かっていない時期だったんです。
テクノロジー企業というのは、テクノロジー優先で走り出すことが多いと思うんですけれど、ビジネス化するにはどうしたらいいんだろうと、すごく悩んでいた時期でしたので、ご指導いただけたらなと思っていました。

大野

第1回でも脳科学の先生が最優秀賞を取られたのですが、脳科学は事業になりにくいですよね。

金谷

そうなんですよ。
さらにもう一つ、脳科学だけじゃなくて、教育分野だったので。
教育分野って、ちゃんとしっかりしたものしか入れないじゃないですか。
なので、脳科学+教育分野で、Wパンチくらってるような感じです。
すごいものではあるんですけど、どうやったらいいんだろうと悩んでいたところでした。

大野

そうでしたか。
ビジネスプランコンテストBPCCは、誰かに紹介されたのでしょうか。

金谷

正確にはちょっと覚えていないのですが、ご紹介いただいたし…あとは、ビジネスコンテストだとかアクセラレーターとか、いろいろ調べました。
テクノロジーテクノロジーしているのが、今のベンチャー業界では多いと思うんですが、それを聞いてもしょうがないなと思っていたので、ビジネスサイドの経験豊かな人たちのところに行きたかったというのがありましたね。

大野

そういう意味でMIT-VFJが主催しているコンテストは、金谷さんの目的・希望に叶っていたということですね。
メンターは2人でしたか?

金谷

劉 磊(りゅう・れい)さんと柏野尊徳(かしの・たかのり)さんと谷口賢吾(たにぐち・けんご)さんの3人でした。
いろいろな方に実はお世話になっていて、メンターだけではなくて、事務局の方も。
あの時は全部オンラインだったんです。

大野

そうでしたね、コロナの時でした。

金谷

冬野健司(ふゆの・たけし)さんと伊藤智久(いとう・ともひさ)さんにもメンタリングに入って頂きました。
大勢の方に育てていただいたなと思っています。

大野

谷口さんは長くメンターをされていますが、劉さんと柏野さんは比較的新しいので、多分三人体制になったのだと思います。
理事の冬野さんと伊藤さんは、メンタリングのプロでもありますが、メンタリングがうまくいっているかをチェックする役回りなので、ちょっと参加したのでしょう。

金谷

お二人は「ちょっと」だけじゃなくて、かなり深く入り込んでくださいました。

大野

そうですか! ベテランメンターですからね、お二人は。

メンターの伴走で生み出された、先を見据えたビジネスプラン

大野

メンタリングを受けられて、ビフォー&アフターで、かなり違ったと思います。
金谷さんのご自身のお気持ち、並びに事業そのものに、どんな変化が起こりましたか?

金谷

すごく大きな変化でした。
元々そういう目的で応募したというのもあるんですが、テクノロジーありきの議論っていうより、ビジネス化の議論がすごく多かったので、全く違う視点で考えができるようになったことがまず一つです。
その時にとっても勉強になったのが、オンラインサービスは、1つの企業がマーケットの全てを持ってくという現実です。
「VRってどういうとこがやってるの?」といえば、Facebookだとかマイクロソフトだとか、このような世界的なIT企業が多くて。
「これ普通にやっても勝てないよね。
ではどうやって残ってくの?」ということを一緒に考えてもらい、まずどこの分野から尖って入っていって、どうやって展開していくか。
なので、目先のビジネスプランを考えるっていうことより、もうその時点でアフターコロナを見据えて、こういう時代だったらこうするみたいなところまで考えられたというのは、皆さんのおかげだと思っています。
すごいなと思います。

大野

応募する前、金谷さんご自身のステージはどこまでいっていたのですか。

金谷

ビジネスというより、研究開発みたいな段階だったかもしれません。
サービス自体は既に提供体勢にあって、学習でのVRだったんですが、なかなか使ってくれるところがなかったので、学習塾をM&Aしました。
自分たちの塾だったら自由に使えるじゃないですか。
そこでちゃんと効果が出るか出ないか検証したりしていました。
生徒が、開成高校や東大にも受かったりしていて、ちゃんと効果があるというところまで来たんですが、それをどのようにやっていくんだろうかと。

金谷 建史さん
大野

なるほど。
ということは、金谷さんご自身は教育者なんですか?

金谷

どちらかというとテクノロジー寄りで、教育者ではありません。
でもとても興味がある分野なんです。

大野

東大など、受験のための塾ですか。

金谷

そうです。
脳科学のテクノロジーで頭を良くするっていう意味では教育者になるのかな?
見るだけで頭が良くなるっていう、すごいテクノロジーを作ったんですよ。

大野

すごい!私も欲しい!!

金谷

それがキャッチーで、実際に東大に入った人や開成高校に入った人とか出てきまして。
すごいことなんですよ、実は。

大野

いやはや、それはすごいことです!!

金谷

めちゃめちゃすごいですよね!!

ビジネスモデルの変化 「頭が良くなる」から「VRスクール コロナ禍 新しい学校選び」へ

大野

それがうまく機能すれば、莫大な利益が出そうな気がするんですけど。

金谷

そうなんです。
それをどうにかしたかったんですが、行政に持っていったり、教育委員会に持っていったりしても、「すごいね」でおしまい。

大野

いま伺っただけで、すごいなと思ったんですが…
そんな技術があって、塾をやって、ところがコロナになって…そんな社会になったからVRでやってみようか、ということになったんですか?

金谷

いえ違うんです。
その脳科学のテクノロジーが、VRで作ったテクノロジーだったんです。
眼鏡みたいなものなんですけど、脳科学が入ってる眼鏡みたいなものを作っていて、それを見るだけで東大入れるよっていう。

大野

「VRスクール コロナ禍 新しい学校選び」っていうテーマだったと思いますが、それで応募されたんですよね。

金谷

応募の段階では、多分「VRスクール」という名前だけだったと思います。
「学校選び」となったのは、「頭が良くなるよ」というビジネスモデルでは限界があるということを、このメンタリングでご指導いただきました。
受験生が学校選びができるようにして、全部の大学に導入していくというビジネススキームを考えて、最終審査では「学校選び」というタイトルになりました。

大野

テックだけだったものが、メンタリングを受けてビジネスの要素が入り、それを発表した時、ご自身はどんな気持ちでした?

金谷

正直言うとあまり覚えてないのですが、唯一覚えてるのは、ビジネスモデルがなかったのにそれができて、ロードマップができて…それを発表するタイミングだったので、イベントのゴールというよりは、そこからビジネスが始まっていく、スタート時点のような感じがしました。

大野

当時はテンアップという会社名でしたね。
どういう意味ですか。

金谷

勉強だったので「点数アップ」みたいなところです。
ですので、どちらかというと元々は学習のためのものという感じで作っていたんですよね。

大野

それが今ではリアルバーチャル株式会社。
ということは、もっと事業が膨らんだわけですね。

金谷

そうなんです。
当時はコロナ禍だったので、コロナ禍とアフターコロナという二つのフェーズを考える必要がありました。
メンタリングではアフターコロナのことも考えてビジネスを設計したので、「コロナ禍ではここまでやろう」「コロナが明けたら他の業界にも展開していこう」みたいなケースをちゃんと分けて、ビジネスモデルを作っていきました。
そして、アフターコロナになり新しいフェーズに入ったタイミングで社名も変えました。

事業化に成功したVRのビジネスモデルの誕生

大野

なるほど。
コロナが追い風になったんですね。
しかしコロナが落ち着いて、現在の事業は具体的にはどういうことをやってらっしゃるんですか?
収益的にはどうですか?

金谷

やっている内容はそんなに変わっていなくて同じ分野なんですけど。
VRというと、キャラクターがゲームみたいな空間に入って遊ぶというイメージがあるんじゃないかなと思うんです。
僕たちがやっていたのは、ゲームみたいな空間ではなくて、Googleストリートビューの中にアバターで入っていけちゃうようなものなんです。
だから実は結構リアルなんですよ。
例えば、実際の近畿大学の中にアバターで入っちゃうみたいな。
あとはオンライン会社案内で好評だったのは水道局様の会社案内でダムに行ったり、社員さんでもなかなか入ることのできないコントロールセンターの中に入ったりしました。
だから、あまりゲーム要素はないんですよね。
でも、実際のダムのある場所に行ってみると、どのダムも老朽化が進んでいることに気づけるんです。
そして、それらのダムの機能を止めることなくダムを改修していかなければならないという大きなミッションがあることも体感できました。
会社に入る前に、そのようなミッションを感じれるとこれから入る人もとてもやる気がわいたようです。

大野

みんなでその場に行って感じれるのはWeb会議では体験できませんよね。

金谷

そうなんです。

大野

ところで、このサービスはちゃんと事業化できていますか?

金谷

はい、できています。
当社の同業者がみんな苦戦している中、うちだけはアフターコロナでも伸びているんです。

大野

他社は苦戦してるけれども、御社は顧客が増えている。

金谷

そうなんです。
これもメンタリングで教えていただいた事業展開をそのままやった結果です。
メンタリング時の想定でライバル企業は、資本の力を活用して技術競争を仕掛けてくるはずと想定していました。
そしてその通りになっていると思います。
その競争に巻き込まれたら負けです。
そこで、僕たちは「一般的な方向」へ開発していきました。
一見ローテクに見えるようなことでも、普通の人が使いやすいかどうかということを評価軸にして誰でも使えるものになるよう開発してきました。
この戦略は当たり、メンタリングの成果だと思っています。

大野

それはすごい。
MIT-VFJメンタリングの威力が発揮されたわけですね。

金谷

はい、また事業の展開方法もしっかりとマーケットを選びました。
まずは、 多くの人がまず使ってくれる…例えば僕たちの場合は大学にフォーカスしました。
それで先ほどのタイトルが「学校選び」となったわけです。
大学が使ってくれるようになると、2~3年したらアフターコロナになり、今度は「学校選び」を使った子たちが新卒採用のタイミングになります。
そのタイミングになったら、大企業の人事部に売り込めるというように、バラバラではなくちゃんと点が線になるよう戦略にしていく。

大野

なるほど。
ビジネスモデルを変えて現在事業を運営されていて、ちゃんと収益は上がってる。
素晴らしい!

金谷

メンターの皆様のおかげです。

大野

つまりマーケットの選定がすごく良かった。

金谷

マーケット選定、そして新しいマーケットに行く際のつながり、そして、どこのタイミングでもマーケットフィットすることを第一に考えて展開してきました。

BPCC終了後から現在に至るまで、伴走しつづけるMIT-VFJのメンターたち

大野

金谷さんの努力もすごいけど、メンターの視点の素晴らしさというのもあるわけですね。

金谷

はい、そうですね。
後ほど出てきますけど、メンターの方がすごく協力してくださいました。

大野

なるほどね。
あの三人ならすごくいいところへ行きそうな気がします。

大野

プレスリリースでは、メタバース診療所の効果検証というのが載っていましたよね。
それを実施されているわけですけれども、その目的と検証のポイントと今後の展開についてお話をいただけますか。

金谷

ありがとうございます。
劉さんがアストラゼネカでやってくださいました。
去年の年末の話なんです。
ですので、もうメンタリングが終わって3年も経っているにもかかわらず、皆さんが協力してくださっていて、それって結構すごいことじゃないかなって。

大野

いやすごいことですよ!
それだけ、劉さんは金谷さんの事業に興味を持っていらっしゃるってことですね。
一緒に作り上げてきたってのが、きっとあると思います。

金谷

実は理事の伊藤さんも協力してくださっています。
伊藤さんは明星大学の教授でもありますが、メンタリングが終わって数ヶ月後に、明星大学のオープンキャンパスで推薦してくださり、そのまま採用になったんです。

大野

そうでしたか、伊藤さんはそんな良いことをしていたんですね!

金谷

川北 潤(かわきた・じゅん)さんは、僕のメンターではないんですが、昨年ご連絡いただき、一緒に資料を作ったり事業モデルを作ったりしてくださり、さらに大企業への営業開拓も一緒に同行してくれました。

大野

素晴らしい!
川北さんも偉大なメンターで、ご自身アグレッシブの権化みたいな人ですから。

メタバース診療所の効果と今後の展開

大野

プレスリリースで、メタバース診療所の効果検証を実施されていることを拝見しました。
目的と検証のポイント、今後の展開について簡単にご紹介頂けますでしょうか。

金谷

メンタリング中に話していたのが、VRとかメタバースって、意味のあるものじゃないと使わないよねっていうことでした。
コロナ禍でVR・メタバースに興味が集まっている段階で、このように指導してくれることが本当にすごいなと思います。
当社以外はおのような視点になれる企業さんも少なく、メタバースを作ることが目的になってしまっていることが多いかと思います。
アストラゼネカの劉さんとは、診察室で意味ある使い方ができないかと一緒に考えさせていただきました。
診察室の課題としてちゃんと聞きたいことを聞けているのかという問題でした。
例えば、ここが診察室で、僕が先生で、大野さんが患者さんだとするじゃないですか。
するとふつうは、先生が誘導したいように会話は流れていくと思います。
先生のいいように流れていっちゃって、結局、患者の大野さんは言いたいこと言えなかったりとかしませんか?

大野

すごくあります。

金谷

これって患者さんのことをちゃんとヒアリングできていないということだと思います。
実際の診察室で、このような状態ですから、Web会議を使ったものはもっとコミュニケーションが難しいと思います。
そこで、メタバースだったらどうだろうっていうことで、仮説を考えました。
最初は診察室みたいなところでカウンセリングするんですが診察室を出て、先生である僕と大野さんが2人で露天風呂みたいなところに行ってみる。
普通、カウンセリングって、顔と顔を見合わせて正面を見ながら喋るじゃないですか。
だけど横に座った状態で、夜空など見ながら喋っていたら、ちょっと会話が変わるんじゃないかなと。

大野

変わりますね。

金谷

さっきまでは狭い診察室だったけれど、夜空の下だったら開放感があふれますよね。
それでも喋らない人は、今度は小さなキャンプ場の薄暗いテントみたいなところに入って話をしてみる。
閉鎖的なところで話をすると先ほどとは違い、自分を見つめ直す効果も見られました。
カウンセリングが本来求めていることは、患者さんの会話や内容をどれだけ引き出せるかがポイントなんですが、もしかしたらメタバースがそれに最適なのではと思っています。

大野

リラックスするといろいろな話が出てきますもんね。

金谷

患者さんにしてみると診察室は相手の土俵なので相手の進みたいように進んでしまうと思うのですが、開放的なお風呂だったり、閉鎖的なキャンプだったり、お互いが平等な立場になれる場所で会話すると心理学的にも全然違うんですよね。

大野

私は、心理療法士の親友がいるんですけれども、やっぱりいろいろな話を引き出したりしなきゃいけませんよね。
その心理療法士の世界にも使えますね。

金谷

めちゃめちゃ使えるんです。

大野

まさに、病院の診察室じゃ駄目。
それから一つ余計なこと言ってもいいですか。
例えば私が金谷さんに恋をしているとするでしょ。
金谷さんとどうしてもいろいろとお話したいんだけど緊張するし、恋を実らせたいと思っているんだけれど、リアルの世界だとなかなか難しい。
メタバースなら心情を語ったりとか、趣味の話をして意気投合したりとか、そんなのができそうですね。

金谷

実際に婚活で使ってもらってるんです。

大野

おー、もうやってるんですね!

金谷

おっしゃる通り、初めての人は会話のネタがないと駄目じゃないですか。
当社のシステムの機能で空間を色々と瞬時に変えられるんです。
なので、例えば、海沿いに行ったり、山沿いに行ったりしながら、「大野さんってどっちが好き?」とか。
言葉だけじゃできない、いろいろな空間に一緒に行ってみて「何が好き?」みたいな会話のきっかけになるんです。
また空間があると一緒にいるだけでも楽しめたりするので、オンラインなので本当にデートしているかのようになれるんです。
他の使い方では、 周りの空間を変えられるので、市場調査とかでも使ってもらっています。
例えば今からパン屋さんを出店するオーナーさんが、市場調査で100人ぐらいの人に「こっちの店舗とあっちの店舗、どっちがいい?」というのは、写真を見せてもできないと思うんですけど、その空間に一緒にストリートビューで入っちゃうと、こっちがいいな、あっちがいいな、みたいなことができるんです。

大野

面白いですね。
どんな効果がでやすいかなど検証もしているんですか?

金谷

はい、会話の比率と会話のトピックで面白い検証結果がでました。
基本、人は、初めての人とはそんなに盛り上がらないのですが、色々な場所に行ったりしながら話をすると、もう何でも喋ってくれるようになるんです。

今後の展開 1つ1つの業界に代理店を

大野

実証実験が終わって、今それを実際に応用して商売に繋げていくことだと思うんですが、今後の展開としてはどうですか?
例えば営業活動などをやっていきますか?

金谷

一つ一つ業界ごとにしっかりとマーケットフィットさせて展開していけたらと思っています。

大野

営業をいろいろと展開していくためには人が必要だと思うんですが、現在御社はどれくらいの人数でやっているんですか。

金谷

まだ数名ですが、各業界でマーケットフィットさえできれば、各業界ごとに代理店を作ることができるのではと思っています。
また、このような代理店制度は先ほど出てきたテクノロジー会社との競争でも有効だと思っています。

大野

ということは、その各分野の代理店を探して、その人たちとコンタクトしていくというアクションが必要なわけですね。
なるほどね、面白い。
でも、そういう私が、今まで金谷さんがこんなことをやってらっしゃることに目を向けていなかったし、ほとんどの人はまだ知らないんじゃないかと思うんですね。
今後、爆発的に増えたとしたら、やっぱり組織も作っていかなきゃいけないし、やることも多いですね。
今後の展開も考えていらっしゃいますか。

金谷

どちらかというとメタバースの王道を走っているタイプではないと思うので、すごく大きな開発をしてどんどん進めてくというよりは、何か1個のマーケットにしっかり入っていくというのを繰り返していく。
こんなことをずっとやっていくんだろうなと思います。

大野

技術はとてもハイテクなんだけれども、やっていくこと自体はとてもアナログですよね。

金谷さんに影響を与えた人物は、あの歴史的な偉人

大野

金谷さんに影響を与えた人物というと、メンターの方々もちろんですが、その他にいらっしゃいますか?

金谷

メンターの皆さんにお世話になっているのが大前提ですけど、すごく面白いなと思う人は岩崎弥太郎さんです。
地味だと思うんですけど、彼の人生を知ると結構すごいんですよ、面白くてですね。

大野

伝記を読んだわけじゃないけど、すごい人ですよね。

金谷

面白いこと、あれだけのことをしているのに、伝記とかあまりなくて、ドラマにもならないし。
でもちょこちょこいろいろなドラマに出てきたりするんですけど、すごいんです。
ゼロイチで事業を作り上げていてベンチャーの要素もありますし、 日本中にサービスを広げる大企業のような経験もして、さらには、海外との戦いもしているし、運輸ビジネスでは天下分け目の大合戦もしているんです。
そのタイミングも岩崎弥太郎さんも全力でパワフルで見てるだけで刺激をもらいます。

大野

金谷さんとしては、岩崎弥太郎のどの部分を真似たいとか、彼がこんなふうにやったから自分もやっていきたいということなどがあったら教えてください。

金谷

彼のすごいところは、色々なフェーズで問題や課題が出てくるんですが、自分が率先して変わり続けてさらに挑戦しているところだと思います。
ある程度成功したら、そこにいるのが一番楽なはずなんです。
でも彼は挑戦をし続けて自分を高め続ける。
簡単なことではありませんが、自分もそのように人生を全うできたらと思っています。

大野

すごいな、岩崎弥太郎を目指しますっていうのは!
岩崎弥太郎を尊敬して影響を受けて、自分もそんなふうになりたいっていう人はなかなかいませんよ!

ボランティアベースのMIT-VFJに期待すること

大野

私たちはボランティアベースで活動していますが、みんなそれぞれ仕事を持っているし、NPOですので、もっともっと効果的にアグレッシブに活動していくというのがなかなか難しいのです。
そんな我々の活動に対して期待やご要望などあれば教えてください。

金谷

劉さんも協力してくれましたし、伊藤さんも明星大学で協力してくれましたし。
冬野さんはNTTに連絡して開発のお手伝いをしてくださいました。
さっきの川北さんの話もありますし。
柏野さんは日本に帰ってくる度にいつも面談してくださったり。
これはなんでだろうかと考えたら、思ったことが1つあって。
普通ビジネスコンテストやアクセラレータって、その背景にある企業の意向が必ずあるはずなんです。
でも、これだけの人がいろいろなところでこうやって協力してくれたのは、もしかしたら利害関係のないボランティアだからこそできたんじゃないかなと思ったんです。
いろいろな人がいるからこそ、後ろの母体の会社のためにというところではない活動ができる。
こういう社会課題を解決するためには、例えば顔の広い、例えば伊藤さんや冬野さんのような人が、どこか、例えば文科省などに何か持ってくとかというような、何かの利害関係がないというところが、実はすごく強みになるんじゃないかと感じました。

ボランティアだからこそできることだと思います。

大野

なるほど。
そんなふうに言ってくださった人は初めてかもしれません。
そんなふうに皆さんが金谷さんに協力したということは、金谷さん自身にすごく魅力があるんだと思います。
魅力がない人には協力しない。
面白いことやってらっしゃるってことですよ。

VMP(ベンチャーメンタリングプログラム)の応募を考えている方へ

大野

今年もVMPがスタートしました。
できるだけ多くの方にご応募いただきたいと、7月31日の締切に向けて応募者発掘のプロモーションを展開しています。
皆さんにご紹介いただくとともに、この場で応援メッセージをいただけたら幸いです。
金谷さんが経験したようなことを皆さんにも味わっていただきたい。
ただ我々はNPOなので良い面もあるけれども駄目な面もあって、広報活動を頑張ってるんですけどなかなか皆さんに知れ渡らないんです。
ぜひご協力いただきたいと思って、何かいいアイディアとかあれば…メタバースを使って何かできないですかね。

金谷

最近ハイブリッドイベントという言葉をよく使わないですか。
リアルでイベント会場でイベントをやって、Web会議で配信することってありますよね。
コロナ後の新しいスタイルだとは思うのですが、実態はというと、リアルな会場が主になって、オンラインの人はちょっと眺めている程度が実際のところだと思います。
オンライン経由でアンケートや質問に答えてくれる人も非常に少ない。
こんな課題解決の1つにWeb会議で配信するのではなく、当社の配信していただくのはいかがでしょうか?
実際のリアルな場所を体感しながらイベントを視聴できるので本当にそこにいるかのようにオンラインで体験することができます。
視聴時間や視聴数が上がるのはもちろんですが、うちのシステムで配信すると視聴者はパソコンのキーボードとマウスを持った状態でずっと見ててくれるので、すぐにアンケートに答えてくれたりメッセージをくれたりしてオンラインの方もすごく盛り上がるんです。

大野

すごいです。
ぜひVMP24で実現させなくちゃ!

大野

さて、応募を考えている皆さんへ、先輩としてアドバイスとエールをお願いします。

金谷

このプログラムでは普通のアクセラレーターと違って、本質的なことがちゃんと学べると思っています。
最近流行りのマーケティングとかじゃなくて、しっかりとした経営を4Pとか4Cとかそういうところから一緒に考えてくれます。
自分もそうですがベンチャーの人たちは技術ありきで経営している人も多いと思いますが、成長すれば必ず経営の課題にあたると思っており、ここで学べることは非常に経営者としてベースになると思います。
僕にとってすごくメリットだったのは、市場分析して作った事業計画ですが、それが未だに僕たちの事業計画になっているということです。
4年前に作った通りにやっているんです。
これってすごいことだと思います。

大野

そうですね!
貴重なお話をたくさん伺いました。
どうもありがとうございました。

金谷 建史(かなや たてふみ) 氏 プロフィール

リアルバーチャル株式会社(旧:株式会社テンアップ)

サラリーマン経験後2009年に独立。
歯のホワイトニング事業を立ち上げ、全国に83店舗展開。
その後、上場企業でのコーポレートベンチャーキャピタルを立上げ。
2016年に株式会社テンアップを創業
2016年に典和進学ゼミナールを買収
2020年に典和進学ゼミナールを学研グループである市進HDへ売却
2023年にリアルバーチャル株式会社に社名変更

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